マームとジプシーの「書を捨てよ町へ出よう」という演劇を見てきた。
今年の夏に池袋芸術劇場で公演された2015年版の「cocoon」を見たときに涙するほどの衝撃を受けてしまったので、マームとジプシーの演劇は要チェックと思い、10月の時点でチケットを購入した。世間的にも注目の演劇集団だと思う。
「書を捨てよ町へ出よう」は夏の文庫フェアなどで見かけるタイトル、「寺山修司」という名前も見かけたことがあると言う程度の認識。
今回舞台を見る前の予備知識で原作を読んでおいた方が良いだろうと思って、図書館で借りてきて読んでみたが、途中で貸出期限を迎えてしまった。
日常エッセイのように感じたけれども、一言で言うと理解するには難しかった。
マームとジプシー版の「書を捨てよ町へ出よう」のチラシを見たときに、NHKのラジオに出演していた有名な歌人の穂村弘さんが登場すること、2015年時の人又吉直樹さんも関わっているということで引かれる素材はたくさんあった。
感想は一言で言うと
「天才の考えていることはよくわからない」
「現代芸術すごすぎてわからない」
「cocoon」が戦争を題材にしている分わかりやすい。
舞台上に工事現場の足場(イントレと言うらしい)が積まれていて、上演中に足場の組み立て、組み替え、移動があり、3段もあるので、結構な高さ。この足場の上で役者さんがお芝居をしたりして、見慣れるまでちょっと恐いくらいだった。2015年版の「cocoon」で木枠で家を作るのもすごいと思って居たのに、鉄の足場が登場して組み上がっていくのは「へっ!!!」という感じ。
以下見終わった後に一人でざっと書き出したこと(一部ネタバレ)
・トンネルで使われているオレンジ色のナトリウムランプ。明るくなるまでに2分くらいかかるので、舞台では使われてこなかったんだって。ナトリウムランプだとセピア色になるという説明がされたけど、本当に舞台上のものセピア色に見えてびっくりした。→ナトリウムランプの演色性
・工事現場の足場の組み立て、組み替えが精密ですごい。
・青柳いづみさん、cocoonに続きやられてしまうシーンがあるけど、舞台ってこういうものなのだろうか?
青柳さんの体の柔らかさ。ふにゃりとしているように見える。どこか人形のような気もする。
→パンフレットでは「自分は部品だと思っているので」と書いてある。
・尾野島慎太郎さんの狂っている感がcocoonに引き続き狂っているように見える。
・ボクシングの実況シーンでは滑舌よく、聞き取りやすい
・マイクが耳の真横あたりに仕込んであるので、マイクがどこにあるのか気づくまでに時間がかかった。
前列だったので、マイクを通した音響効果がどんな感じになっていたのかはわからなかった。
役者の直接の声とマイクを通した声を演出で使い分けているのはわかった。
・チャプターは10まであった。
・穗村さんは棒パンを手を使わずにたべている(穂村さんは菓子パンを布団の中で食べてるイメージがある)
・会議室を仕切る可動式パーティションのようなスクリーンがありスクリーン移動の精密さがすごい。プロジェクターの投影位置にぴったり当てはまっていた。
・「書を捨て街へ出よう」事前に読んでいたが、抽象的な感じの作品を舞台化する演出家藤田さんのすごさ。
・cocoonはメッセージ性が強かったけれども、「書を捨て街へ出よう」の方がマームとジプシーらしい舞台なのかもしれない。
・冒頭、眼球を解剖するというシーン。ビデオカメラを使って手元を撮したり、舞台上手から下手を撮したり、演出が今回も所々にあった。今の演劇ではプロジェクターを使った演出はあたりまえのようにあるのかも。
・上演時間13時数分すぎから15時10分くらいまでだったか?