『八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。』 天沢夏月


9月の初旬に本屋の平積みをながめていたら気になるタイトルの本があった。
「八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。」
このなんだか悲しみの漂うタイトルに引かれて読みたくなってしまった。
「世界の終わりって?」 滅亡系SFなのかと思ったら、甘々なシーンもある読みやすい本でした。

本を開いた目次の次に
「八月末の空。
週末を彷彿とさせる空。
もし世界が、
こんな風に穏やかに終わるのなら、
それでもいいと思った。」

色々なところに出てくる夏の描写が良い。

「これは通称”偽ラムネ”夏の味がする」
「線香に一本火を付けてあおいで消し香炉に立てる。独特の香りはどことなく夏の気配がする。」

「八月の終わりに切ない気持ちになるのは、同時に色々なものが終わるからなのだろうとふと思った。
夏休みが終わる。甲子園が終わる。蝉の鳴き声が途絶え、入道雲が消える。向日葵が枯れる。子供は田舎から都会へ帰り、魂は現世から彼岸へ帰って行く。

何か区切りがつくということは、何かが終わるということだ。
だから八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。」

主人公と成吾(せいご)、先輩の透子(とうこ)の掛け合いや透子の台詞が面白かったりする。

透子「サイダーとの違いって、なんなんだろう」
成吾「中身は一緒だって言いますよね。入れ物の違いだって」
透子「えー、絶対そんなこと無いよ。ラムネの元とか使っていると思う」
成吾「砂糖と、荒涼と、炭酸ガスでしょ」
透子「夢がない! ラムネはラムネの素なの!」

いや、これはヒロインがかわいい小説だ。

最後まで読むと最近実写化された有名小説とも似ているように感じるかもしれないけど、意外なSF要素が入っていてスラスラと読めて面白かったです。

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「国立感染症研究所」というキーワードでこのページを見に来て下さる方が多いのでご案内。

2017年の国立感染症研究所の一般公開は2017/9/30(土)10:00~17:00だそうです。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/open-campus/openhouse/open-campus-toyama.html

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今週の面白そうな本はチェックしてきたのですが記事化に時間がかかるので後日。
最近、新宿の紀伊国屋書店に行くことが多いので、神保町成分が不足している。

文化庁メディア芸術祭の作品展に行ってきたので、メディア芸術祭の話も書きたいけど、また今度。
メディア芸術祭は初台(新宿)のオペラシティで17/9/28までやってます。→会場案内

VR体験できるコーナーもあって体験したかったけど、行列ができていた。